胆石の治療は手術が必要?治療法の種類と手術を受ける目安を解説
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック、院長の岩村宣亜です。
「胆石があると言われたけれど、手術をしないといけないのだろうか」「できれば手術をせずに、自然に治るのを待つか、食事の工夫や薬で治したい」と、治療法について迷っている方は少なくありません。
胆石の治療は、症状があるかどうかと、石がどこにあるかによって変わります。胆のうの石で腹痛などの症状がある場合は、胆のうを摘出する手術が基本です。症状がない場合は、すぐに治療をせず、定期的に検査を受けながら様子をみることもできます。
この記事では、胆石の治療法の種類と、手術が必要になるケース、手術を受けるタイミングの目安を解説します。
結論|症状がある胆石は手術、症状がなければ経過観察が基本です
胆石は、できる場所によって「胆のう結石」「総胆管結石」「肝内結石」に分けられます。このうち最も多いのは、胆のうの中に石ができる胆のう結石です。
胆のう結石があっても、約8割の方には自覚症状がありません。症状がない場合は、検査で胆のうの状態を確認したうえで、治療を行わずに定期的に経過をみることもできます。一方、何らかの症状がある場合は、手術による治療が原則とされています。
状態ごとの主な治療法は、次のとおりです。
| 胆石の状態 | 主な治療法 | ポイント |
|---|---|---|
| 症状のない胆のう結石 | 経過観察 | 定期的な検査で、胆のうや石の状態を確認する |
| 症状のある胆のう結石 | 腹腔鏡下胆のう摘出術 | 石ができる胆のうごと摘出する |
| 胆のう炎を起こした | 胆のう摘出術 | 炎症の治療を優先し、その上で手術を検討する |
| 総胆管結石(胆管の石) | 内視鏡などで石を取り出す | 胆のうにも石がある場合は、胆のう摘出術も検討する |
なお、症状がなくても、胆のうの状態によっては手術を勧められることがあります。どのような場合に手術が必要になるかは、「胆石の手術を受ける目安」で詳しく解説します。
胆石の治療法の種類
胆石の治療法には、次のようなものがあります。石がある場所や症状の有無、石の種類によって、選べる治療法が異なります。
経過観察
症状のない胆のう結石では、すぐに治療をせず、定期的に腹部超音波検査などを受けて経過をみるのが一般的です。検査では、石の大きさや数の変化に加えて、胆のうの壁が厚くなっていないかなども確認します。経過観察中に腹痛などの症状が出た場合は、手術を検討します。
薬で溶かす(経口胆石溶解療法)
ウルソデオキシコール酸(ウルソ)という飲み薬を毎日服用し、石を少しずつ溶かす治療です。ただし、対象になるのは、石灰化していない小さなコレステロール胆石で、胆のうの働きが保たれている場合に限られます。効果が出るまでに半年から1〜2年ほどかかり、服用を続けても石が溶けきらないこともあります。また、胆のうが残るため、石が溶けた後に再発することが少なくありません。
薬の効果や服用期間については、「胆石は薬で溶かせる?ウルソの効果と限界、手術が必要なケースを解説」で詳しく解説しています。
衝撃波で砕く(体外衝撃波胆石破砕療法)
体の外から衝撃波を当てて石を細かく砕く治療で、ESWLとも呼ばれます。対象となる石の条件が限られることや、治療後に再発しやすいことから、現在、胆のうの石に対してはほとんど行われていません。
手術以外の治療法については、「胆石を手術しないで治す方法はある?薬・破砕・経過観察を専門医が解説」で詳しく解説しています。
腹腔鏡下胆のう摘出術
おなかに小さな穴を数か所開け、カメラと器具を入れて胆のうを摘出する手術です。症状のある胆のう結石に対する標準的な治療で、石ができる胆のうごと取り除くため、胆のうに石が再びできることはありません。開腹手術に比べて傷が小さく、手術後の痛みも少ないため、入院の場合も数日で退院できます。
手術の内容については、「胆のう摘出手術とは?治療の流れ・費用・日帰り手術の適応を解説」で詳しく解説しています。
内視鏡で胆管の石を取り出す
口から内視鏡を入れ、十二指腸にある胆管の出口から石を取り出す治療です。対象となるのは、胆のうから胆管へ落ちた石(総胆管結石)で、胆のうの中にある石を取り出すことはできません。胆のうにも石がある場合は、胆管の石を取り除いた後に、胆のう摘出術を行うことが勧められています。
なお、腹腔鏡下胆のう摘出術も「内視鏡手術」と呼ばれることがありますが、おなかから器具を入れる手術で、この治療とは異なります。
自然に治るのを待つ、食事で治すことはできる?
胆のうの石が自然に体の外へ出ていくことは、ほとんど期待できません。小さな石が胆管へ流れ出ると、途中でつまって強い痛みや黄疸、膵炎を起こすこともあります。詳しくは「胆石は自然に排出される?石の通り道と消えるの真偽を専門医が解説」をご覧ください。
また、すでにできた胆石を、食事だけで溶かしたり取り除いたりすることはできません。食事の工夫は、発作のきっかけを減らすためのものと考えましょう。食事の注意点は「胆石の食事で食べてはいけないものは?控える食品とよい食品を解説」で解説しています。
胆石の手術を受ける目安|手術が必要になるケース
胆石の手術を検討する目安は、大きく分けて次の3つです。
腹痛(胆石発作)を起こしたことがある
食後のみぞおちや右上腹部の痛みなど、胆石による症状がある場合は、胆のう摘出術が標準的な治療です。一度症状が出た方は、その後も発作をくり返したり、胆のう炎などを起こしたりすることがあるためです。
ただし、症状が軽い場合は、すぐに手術を決めずに経過をみるという選択肢もあります。イギリスで行われた研究では、症状が軽く、胆のう炎などを起こしていない434人を、手術を受けるグループと経過をみるグループに分けて比べました。その結果、18か月間の痛みに関する生活の質に差はみられませんでした。一方で、経過をみたグループでも、18か月までに25%の方が手術を受けています1)。
手術を受けるかどうかは、症状の程度や生活への影響をふまえ、医師と相談しながら決めることが大切です。胆石発作の特徴については、「胆石発作が起きたら?痛みの特徴・対処法と受診すべき危険サイン」で解説しています。
胆のう炎・胆管炎・膵炎を起こしたことがある
胆石が原因で胆のう炎や胆管炎、膵炎を起こした方には、くり返しを防ぐために胆のう摘出術が勧められます。これらの病気は重症になることがあり、一度起こした方は再び起こすおそれがあるためです。まずは炎症の治療を受け、症状が落ち着いてから手術の時期を相談します。
症状がなくても手術を検討するケース
症状のない胆石は経過観察が基本です。ただし、胆のうがんのリスクが高いとされる次のような場合は、症状がなくても胆のう摘出術を検討します。
- 直径3cmを超える石がある
- 胆のうの壁が厚くなっている
- 胆のうの壁が石灰化している(陶器様胆のう)
- 10mmを超える胆のうポリープがある
大きな胆石については「「胆石が大きい」と言われたら|手術の目安・放置の危険を専門医が解説」、胆のうの壁が厚いと言われた場合については「胆のうの壁肥厚とは?考えられる原因とがんの可能性、検査の進め方」で解説しています。
胆石の手術を受けるタイミング
胆石の手術には、時期を選んで受けられる場合と、急いで治療を受ける必要がある場合があります。
発作が落ち着いている時期に、計画的に受けるのが一般的
胆石発作をくり返している方の手術は、発作が落ち着いている時期に、日程を決めて受けるのが一般的です。症状が落ち着いていれば、仕事や家庭の予定に合わせて手術日を選ぶことができます。条件が合えば、日帰りで手術を受けられる医療機関もあります。
ただし、手術を先延ばしにしている間に、次の発作や胆のう炎を起こすこともあります。手術を勧められた場合は、時期を決めずに様子をみ続けるのではなく、医師と相談して早めに日程を決めておくと安心です。
発作をくり返すと起こりやすいこと
発作をくり返しているうちに、次のような病気を起こすことがあります。
- 急性胆のう炎:石が胆のうの出口につまり、胆のうに炎症が起きる
- 急性胆管炎:胆管に落ちた石がつまって細菌に感染し、高い熱や黄疸が出る
- 急性膵炎:胆管の出口に石がつまり、膵臓に炎症が起きる
また、胆のう炎をくり返すと、胆のうがまわりの組織とくっつく(癒着する)ことがあります。癒着が強い場合は腹腔鏡での手術が難しくなり、おなかを大きく切る開腹手術に切り替えることもあります。
胆石を放置した場合の経過については、「胆石をほっとくとどうなる?自然に治るのか、受診の目安を解説」で解説しています。
胆のう炎を起こしたときは、まず入院できる医療機関で治療を
発熱を伴う強い腹痛が続く場合や、皮膚や白目が黄色くなっている場合は、胆のう炎や胆管炎を起こしている可能性があります。夜間や休日であっても、入院できる医療機関や救急外来を受診してください。
胆のう炎を起こした場合は、入院して抗菌薬などによる治療を受けます。状態によっては、入院中に早めに胆のう摘出術を行うこともあります。その時点で手術を受けなかった場合も、炎症が落ち着いた後に、改めて胆のう摘出術を検討します。
胆石の手術の内容と流れ
胆石の手術として最も多く行われているのが、腹腔鏡下胆のう摘出術です。手術の内容と、受診から退院までの流れをご紹介します。
腹腔鏡下胆のう摘出術とは
おへそとその周辺に3〜4か所の小さな穴を開け、カメラと細い器具を入れて胆のうを摘出する手術です。全身麻酔で行い、炭酸ガスでお腹をふくらませて、モニターに映るお腹の中を見ながら手術を進めます。胆のうにつながる管と血管をクリップで留めて切り離し、胆のうをおへその穴から取り出します。
開腹手術に比べて傷が小さく、手術後の痛みが少ないことが特徴です。ただし、炎症や癒着が強く、腹腔鏡での操作が難しい場合は、安全のために途中で開腹手術に切り替えることがあります。
受診から手術・退院までの流れ
一般的な流れは、次のとおりです。
1.受診・検査:腹部超音波検査や血液検査、必要に応じてCT検査やMRI検査で、石や胆のうの状態を確認します。全身麻酔に備えた検査も行います。
2.説明・手術日の決定:検査結果をもとに、手術の必要性や方法、リスクについて説明を受け、納得したうえで手術日を決めます。
3.手術:全身麻酔で手術を行います。
4.退院・術後の診察:体の状態を確認して退院し、後日の診察で、経過と摘出した胆のうの検査結果(病理検査)について説明を受けます。
入院期間と費用の目安
入院して手術を受ける場合、入院期間は数日から1週間程度が目安です。炎症が強かった場合や開腹手術になった場合は、さらに長くなることがあります。
一方、当院のように、胆のう摘出術を日帰りで行う医療機関もあります。条件が合えば、手術当日に帰宅することが可能です。
手術には健康保険が適用され、手術料のみの自己負担は、3割負担の方で64,500円です。実際には、麻酔や検査の費用、入院する場合は入院料や食事代も加わります。1か月の自己負担が一定の額を超えた場合は、高額療養費制度によって払い戻しを受けられます。
詳しくは、「胆石手術の入院期間は2〜7日が目安|日帰り手術の条件と仕事復帰」と「胆石の手術費用はいくら?日帰りと入院の違い・自己負担の目安を解説」をご覧ください。
手術の安全性と合併症
腹腔鏡下胆のう摘出術は、多くの医療機関で行われている確立された手術です。胆のうの手術に関連して重い合併症が起こる割合は、0.4%と報告されています。
ただし、ほかの手術と同じように、合併症のリスクはゼロではありません。主な合併症には、次のようなものがあります。
- 出血
- 傷やお腹の中の感染
- 胆汁が漏れる(胆汁漏)
- 胆管の損傷
- 周りの臓器の損傷
状態によっては、追加の処置や再手術が必要になることがあります。リスクを抑えるには、手術前の検査で胆管や石の位置を正確に確認しておくことと、胆のうの手術に習熟した外科医が担当することが大切です。気になる点は、手術前の説明の際に医師へ確認しましょう。
胆石など胆のう疾患でお悩みの場合は当院までご相談ください
当院では、胆石など胆のう疾患に対して適切な診断を行い、患者さま一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
手術が必要かどうかを含めて専門医が丁寧に診断します。お気軽にご相談ください。
JR大阪駅から徒歩3分・土日祝も診療
高齢の方・持病がある方の胆石の治療
「高齢でも胆石の治療を受けられるのか」というご相談は少なくありません。胆石の治療法は年齢だけで決まるわけではなく、全身の状態や持病を含めて判断します。
手術を検討する際には、主に次のような点を確認します。
- 心臓や肺の働きなど、全身麻酔を受けられる状態か
- 糖尿病や高血圧などの持病が、薬で安定しているか
- 血液をサラサラにする薬(抗血栓薬)を飲んでいるか
- 手術後、ご自宅で安静に過ごせる環境があるか
腹腔鏡下胆のう摘出術は、開腹手術に比べて傷が小さく、体への負担を抑えられる手術です。全身の状態が安定していれば、ご高齢の方でも手術を受けられることがあります。
一方、持病の状態によっては、入院できる医療機関で手術を受けたほうがよい場合や、手術ではなく経過観察や内視鏡による治療を選ぶ場合もあります。また、血液をサラサラにする薬を飲んでいる方は、手術前に服用の一時中止が必要になることがあります。受診の際はお薬手帳を持参し、必ず医師に伝えてください。
当院では、日帰り手術が難しいと判断した場合には、入院での治療ができる連携医療機関をご紹介しています。日帰り手術の対象となる方については、「手術の適応について」のページをご覧ください。
受診したときに医師に確認したいこと
胆石の治療方針を決めるときは、ご自身の状態をよく理解し、納得したうえで治療を選ぶことが大切です。受診の際は、次のような点を医師に確認しておくと安心です。
- 石はどこに、どのくらいの大きさで、いくつあるか
- 今の症状は胆石によるものか、症状はくり返しているか
- 胆のうの壁が厚くなっていないか、がんの心配はないか
- 手術が必要か、経過観察でよいか、その理由
- 手術はどの方法で行うか(腹腔鏡か開腹か)
- 入院が必要か、日帰りで受けられるか
- 仕事や家事には、いつから戻れるか
- 費用はどのくらいかかるか
健康診断の結果や、ほかの医療機関で受けた検査の結果(画像や血液検査など)があれば、受診の際にお持ちください。これまでの経過がわかり、同じ検査をくり返さずに済むこともあります。
胆石の治療・手術についてよくある質問
Q.胆石は薬だけで治せますか?
薬で溶かせるのは、石灰化していない小さなコレステロール胆石で、胆のうの働きが保たれている場合に限られます。効果が出るまでに長い期間がかかり、石が溶けた後も再発することが少なくありません。腹痛などの症状がある場合は、手術による治療が原則です。
Q.胆のうを残して、石だけ取ることはできますか?
胆のうを残して石だけを取り出す方法は、標準的な治療ではありません。胆のうが残っていると、石が再びできる可能性があるためです。症状のある胆のう結石には、胆のうごと摘出する手術が勧められています。
Q.胆のうを取っても、生活に影響はありませんか?
胆のうを摘出しても、多くの方は日常生活に大きな支障なく過ごすことができます。胆汁をつくるのは肝臓で、摘出後も胆汁は腸へ流れ続けるためです。ただし、術後しばらくは、脂っこい食事のあとに下痢や軟便が起こることがあります。詳しくは「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」をご覧ください。
Q.胆石の治療は何科で受けられますか?
消化器内科、消化器外科、または胆石の日帰り手術を行う専門クリニックを受診するのが一般的です。痛みをくり返している方や手術を検討している方は、消化器外科や胆石の手術に対応している医療機関を受診しましょう。詳しくは「胆石は何科を受診する?受診の目安と検査・治療について解説」をご覧ください。
Q.手術後、仕事にはいつ戻れますか?
デスクワークなど体への負担が少ない仕事であれば、術後数日から1週間程度で復帰される方が多くいらっしゃいます。重い物を持つ仕事や、お腹に力がかかる作業、激しい運動は、術後2〜4週間程度控えるのが一般的です。回復には個人差があるため、仕事の内容を医師に伝え、復帰の時期を相談しておきましょう。
まとめ|症状がある胆石は、落ち着いた時期に手術を検討しましょう
胆石の治療は、症状があるかどうかと、石がどこにあるかによって変わります。
症状のない胆のう結石は、定期的な検査で経過をみるのが基本です。一方、腹痛などの症状がある場合は、腹腔鏡下胆のう摘出術が標準的な治療です。薬や衝撃波による治療は対象となる方が限られ、自然に治ることや、食事で石が溶けることも期待できません。また、症状がなくても、石が大きい場合や胆のうの壁が厚い場合などは、手術を検討します。
手術は、発作が落ち着いている時期に、計画的に受けるのが一般的です。手術が必要かどうか、いつ受けるかは、石や胆のうの状態、症状の程度、生活への影響をふまえて決めることが大切です。胆石を指摘された方や、手術を受けるか迷っている方は、一度専門医に相談してみましょう。
胆石など胆のう疾患でお悩みの場合は当院までご相談ください
当院では、胆石など胆のう疾患に対して適切な診断を行い、患者さま一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
手術が必要かどうかを含めて専門医が丁寧に診断します。お気軽にご相談ください。
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参考文献
1) Ahmed I, Hudson J, Innes K, et al. Effectiveness of conservative management versus laparoscopic cholecystectomy in the prevention of recurrent symptoms and complications in adults with uncomplicated symptomatic gallstone disease (C-GALL trial): pragmatic, multicentre randomised controlled trial. BMJ. 2023;383:e075383.
2) 日本消化器病学会. 患者さんとご家族のための胆石症ガイド2023.
3) 日本消化器病学会編. 胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂, 2021.
4) Okamoto K, Suzuki K, Takada T, et al. Tokyo Guidelines 2018: flowchart for the management of acute cholecystitis. J Hepatobiliary Pancreat Sci. 2018;25(1):55-72.
5) MSDマニュアル家庭版. 急性膵炎.
