胆石をほっとくとどうなる?自然に治るのか、受診の目安を解説
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック 院長の岩村宣亜です。
健康診断で胆石を指摘され、「そのまま放置しても大丈夫なのだろうか」と不安に感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。胆石は症状がなく経過することもありますが、放置すると胆のう炎や胆管炎、急性膵炎などの重い病気を引き起こすことがあります。
本記事では、胆石をほっとくとどうなるのか、現れる症状や起こりうる病気、受診の目安や治療法についてわかりやすく解説します。
- 1. 胆石をほっとくとどうなる?まず知っておきたい結論
- 2. 胆石とは?胆石の種類と原因
- 2.1. 胆石の種類
- 2.1.1. 胆のう結石
- 2.1.2. 総胆管結石
- 2.1.3. 肝内結石
- 2.2. 胆石の原因
- 3. 胆石を放置したときに現れる症状
- 3.1. みぞおちや右上腹部の痛み
- 3.2. 発熱
- 3.3. 黄疸
- 3.4. 吐き気や嘔吐
- 4. 胆石を放置すると起こりうる病気
- 4.1. 急性胆のう炎
- 4.2. 胆管炎
- 4.3. 急性膵炎
- 4.4. 胆のうがん
- 5. 胆石は自然に流れる?自然に治る?
- 6. 胆石の検査では何をする?
- 6.1. 問診・診察
- 6.2. 腹部超音波検査(エコー検査)
- 6.3. 血液検査
- 6.4. CT検査・MRI検査
- 6.5. 検査結果をもとに治療方針を決定する
- 7. 胆石の治療法
- 7.1. 無症状の胆石の治療方針
- 7.2. 症状を伴う胆のう結石の治療
- 8. まとめ|胆石は放置せず専門医に相談を
胆石をほっとくとどうなる?まず知っておきたい結論
胆石を放置した場合、症状がなく経過することもありますが、胆石が胆のうや胆管に詰まることで重い合併症を引き起こす可能性もあります。
胆石によって胆汁の流れが妨げられると、みぞおちや右上腹部の強い痛みが現れることがあります。さらに、胆のう炎や胆管炎、急性膵炎などを発症し、入院や緊急治療が必要になるケースもあります。
特に、一度でも胆石による腹痛などの症状を経験したことがある場合は注意が必要です。症状が自然に治まったとしても胆石がなくなったとは限らず、その後に症状を繰り返したり、重症化したりすることがあります。
一方で、健康診断や人間ドックで偶然発見された胆石のなかには、長期間にわたって症状が現れず、経過観察で問題ないケースもあります。そのため、胆石が見つかったからといって、必ずしも治療が必要になるわけではありません。
ただし、胆石を経過観察してよいかどうかは、症状の有無や胆石の大きさ、位置などによって異なります。自己判断で放置せず、胆石を指摘された場合は専門医の診断を受けることが大切です。
胆石とは?胆石の種類と原因

胆石とは、胆のうや胆管の中にできる石のようなかたまりのことです。胆のうは肝臓で作られた胆汁を一時的にためておく臓器で、胆汁には脂肪の消化を助ける働きがあります。
何らかの原因で胆汁の成分バランスが崩れると、胆汁中の成分が結晶化し、徐々に大きくなって胆石になります。胆石があっても症状が出ないことは珍しくありませんが、胆石が胆汁の通り道をふさぐと、腹痛や炎症などの原因となります。
胆石の種類
胆石はできる場所によって、主に次の3種類に分類されます。
胆のう結石
胆のうの中にできる胆石です。胆石症のなかで最も多く、健康診断や人間ドックの腹部超音波検査で偶然発見されることも少なくありません。
総胆管結石
胆汁の通り道である総胆管にできる胆石です。胆汁の流れが妨げられやすく、黄疸や胆管炎、急性膵炎などの原因となることがあります。
肝内結石
肝臓の中にある胆管(肝内胆管)にできる胆石です。比較的まれですが、胆管炎を繰り返す原因となることがあります。
胆石の原因
胆石は、胆汁に含まれるコレステロールやビリルビンなどの成分が結晶化し、固まることで形成されます。
胆石ができやすくなる要因としては、加齢、肥満、脂質の多い食生活、急激な体重減少、糖尿病などが挙げられます。また、女性や妊娠・出産経験のある方、胆石の家族歴がある方では、胆石が発生しやすい傾向があります。
ただし、これらの要因に当てはまる方すべてに胆石ができるわけではありません。胆石は複数の要因が関与して発生すると考えられており、体質や生活習慣なども影響するとされています。
胆石を放置したときに現れる症状
胆石があっても症状が現れない場合は少なくありません。しかし、胆石が胆のうの出口や胆管に移動して胆汁の流れを妨げると、さまざまな症状が現れることがあります。
みぞおちや右上腹部の痛み
胆石による代表的な症状が、みぞおちから右上腹部にかけて生じる痛みです。特に脂っこい食事の後や夜間に起こることがあり、「胆石発作」と呼ばれます。
痛みは数十分から数時間続くことがあり、背中や右肩に広がる場合もあります。一時的に症状が治まることもありますが、胆石がなくなったわけではないため注意が必要です。
発熱
胆石によって胆汁の流れが妨げられ、胆のうや胆管に炎症が起こると発熱がみられることがあります。
腹痛に加えて発熱や寒気を伴う場合は、胆のう炎や胆管炎を発症している可能性があります。これらは早急な治療が必要となることもあるため、早めの受診が重要です。
黄疸
胆石が胆管に詰まると胆汁の流れが滞り、黄疸が現れることがあります。
黄疸とは、皮膚や白目が黄色く見える状態です。また、尿の色が濃くなることもあります。黄疸がみられる場合は、胆管結石や胆管炎などの重篤な病気を発症している可能性があるため注意が必要です。
吐き気や嘔吐
胆石による痛みとともに、吐き気や嘔吐を伴うことがあります。
胃腸の不調と間違われることもありますが、腹痛とあわせて症状が現れる場合や、同様の症状を繰り返す場合は、胆石が関係している可能性があります。
胆石を放置すると起こりうる病気
胆石が胆汁の流れを妨げると、さまざまな病気を引き起こすことがあります。なかには緊急治療や入院が必要となる病気もあるため注意が必要です。
急性胆のう炎
急性胆のう炎は、胆石が胆のうの出口を塞ぐことで胆のうに炎症が起こる病気です。
みぞおちや右上腹部の強い痛みのほか、発熱や吐き気を伴うことがあります。炎症が強くなると胆のうが壊死したり、胆のうに穴が開いたりすることもあるため、早期の治療が重要です。
胆管炎
胆管炎は、胆石によって胆管が詰まり、胆汁の流れが滞ることで細菌感染が起こる病気です。
腹痛や発熱、黄疸が主な症状で、重症化すると血液中に細菌が広がり敗血症を引き起こすことがあります。緊急で内視鏡治療や抗菌薬治療が必要になる場合もあります。
急性膵炎
胆石が膵液の流れにも影響を及ぼすと、急性膵炎を発症することがあります。
急性膵炎では、みぞおちを中心とした強い腹痛や背中の痛み、吐き気や嘔吐などがみられます。軽症で改善することもありますが、重症化すると全身状態が悪化し、集中治療が必要になることもあります。
胆のうがん
胆石があるからといって必ず胆のうがんになるわけではありません。しかし、長期間にわたって胆石による慢性的な炎症が続くことで、胆のうがんの発症リスクが高くなる可能性が指摘されています。
胆石は自然に流れる?自然に治る?
胆石を指摘された方のなかには、「自然に流れてなくなることはあるのか」「手術をしなくても治るのか」と疑問に思う方もおられます。小さな胆石が胆管を通って腸へ排出されることはありますが、胆石そのものが自然に治ることは基本的にありません。
症状が改善したことで「胆石が流れた」と考えられることもありますが、実際には胆石が残っていたり、新たな胆石が形成されたりすることもあります。症状がなくなっただけで胆石が治ったとは判断できません。
また、胆石があっても症状がなく、医師の判断で経過観察となることがあります。これは胆石が治ったという意味ではなく、現時点では治療の必要性が低いと判断されている状態です。
胆石が自然に治ることを期待して放置すると、胆のう炎や胆管炎、急性膵炎などの重篤な合併症を引き起こす可能性があります。胆石を指摘された場合は、症状の有無にかかわらず、一度専門医に相談することが大切です。
胆石の検査では何をする?
胆石が疑われる場合や健康診断で胆石を指摘された場合は、症状の有無や胆石の状態を確認するために検査を行います。検査では、胆石の大きさや数、できている場所だけでなく、胆のう炎や胆管炎などの合併症が起きていないかも確認します。
問診・診察
まずは現在の症状や既往歴について確認します。
腹痛がある場合は、痛みが出る部位や頻度、持続時間、発熱や吐き気の有無などを詳しく確認します。診察では腹部を触診し、炎症が疑われる所見がないかを調べます。
腹部超音波検査(エコー検査)
胆石の診断で最もよく行われる検査が腹部超音波検査です。
お腹に超音波を当てて胆のうや胆管の状態を観察する検査で、体への負担が少なく、胆石の有無を確認することが可能です。
血液検査
血液検査では、炎症の有無や肝機能、胆道系酵素の値などを確認します。
胆のう炎や胆管炎を発症している場合には炎症反応が高くなり、胆汁の流れが悪くなっている場合には、肝機能や胆道系酵素に異常がみられることがあります。
CT検査・MRI検査
超音波検査だけでは胆石の位置や状態を十分に評価できない場合には、CT検査やMRI検査(MRCP)を行うことがあります。
特に総胆管結石が疑われる場合や、胆のう炎・胆管炎などの合併症の有無を詳しく確認したい場合に実施されます。
検査結果をもとに治療方針を決定する
胆石が見つかった場合でも、すべての方に治療が必要になるわけではありません。
検査結果をもとに、症状の有無や胆石の種類、大きさ、位置などを総合的に判断し、経過観察とするのか、治療を行うかを決定します。
胆石の治療法
胆石症の治療は、症状の有無や胆石の存在部位、炎症・合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。
無症状の胆石の治療方針
腹痛や発熱、黄疸などの症状がない無症状の胆石の場合、原則として積極的な治療は行われません。無症状の場合は、医師の判断のもと、定期的な診察や超音波検査などの画像検査による経過観察が行われることが一般的です。
ただし、胆のうの状態や合併疾患、将来的な合併症のリスクが高いと判断された場合には、予防的に手術が検討されることもあります。
症状を伴う胆のう結石の治療
胆石発作を繰り返している場合や、急性胆のう炎を発症した場合には、治療が必要となります。
症状を伴う胆のう結石に対しては、根本的な治療として胆のう摘出術が行われます。胆のうを摘出しても、胆汁は肝臓から直接腸へ流れるため、通常は日常生活に大きな支障をきたすことはありません。
現在は、標準的な術式として腹腔鏡下胆のう摘出術が広く行われています。腹部に小さな孔を数か所開けて行う手術で、開腹手術と比べて傷が小さく、術後の痛みが少ないことが特徴です。
また、患者さまの状態によっては日帰り手術で対応できる場合もあり、身体的・社会的負担を抑えながら治療を受けることが可能です。
まとめ|胆石は放置せず専門医に相談を
胆石は、症状がないまま経過することもある一方で、胆のう炎や胆管炎、急性膵炎などの重篤な病気を引き起こすことがあります。
特に、みぞおちや右上腹部の痛みを繰り返している場合や、発熱、黄疸、吐き気などの症状がある場合は注意が必要です。症状が一時的に治まったとしても、胆石そのものがなくなったとは限らず、その後に再発や重症化を招く可能性があります。
また、健康診断や人間ドックで胆石を指摘された場合も、自己判断で放置せず、医療機関を受診することが大切です。胆石の種類や大きさ、存在する部位によっては経過観察が適している場合もあれば、治療を検討した方がよい場合もあります。
胆石が疑われる症状がある方や、胆石を指摘された方は、一度専門医に相談し、ご自身の状態に応じた適切な対応について確認しましょう。早期に適切な診断・治療を受けることで、重篤な合併症の予防につながります。
