胆のう摘出手術とは?治療の流れ・費用・日帰り手術の適応を解説
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック 院長の岩村宣亜です。
医師から胆のうを取る手術をすすめられ、「どのような手術なのか」「入院は必要なのか」「費用はいくらかかるのか」と、不安や疑問を感じる方は少なくありません。
胆のう摘出手術は、胆石症などに対して広く行われている、確立した手術です。現在は内視鏡(腹腔鏡)による体への負担が少ない方法が標準となっており、条件が合えば日帰り手術も選択肢となります。
この記事では、胆のう摘出手術の方法や治療の流れ、費用の目安、日帰り手術の適応について、専門医の立場からわかりやすく解説します。
胆のう摘出手術とは
胆のう摘出手術は、胆石症や胆のうの病気に対して、胆のうそのものを取り除く手術です。まずは、手術の方法や胆のうを摘出したあとの体の変化など、治療の全体像をご説明します。
内視鏡(腹腔鏡)による手術が標準的な方法
胆のうを摘出する方法には、お腹を切開する開腹手術と、小さな穴から行う内視鏡(腹腔鏡)手術があります。
現在、標準的に行われているのは内視鏡(腹腔鏡)手術です。お腹に開けた5mmから1cm程度の小さな穴からカメラと器具を入れ、モニターに映した映像を見ながら胆のうを摘出します。なお、胆のうを取り出す際には、おへその傷を2〜3cmほど切開します。
開腹手術に比べて傷が小さいため、手術後の痛みが少なく、回復も早い傾向があります。傷跡は時間の経過とともに目立ちにくくなります。
胆のうを取っても生活に大きな支障はないとされる理由
「胆のうを取ってしまって大丈夫なのか」と心配される方もいらっしゃいます。
胆のうは、肝臓でつくられた胆汁をため、濃縮しておく臓器です。胆汁そのものをつくる働きはありません。胆のうを摘出したあとも、胆汁は肝臓から腸へ直接流れるため、消化の仕組みは保たれます。
手術後しばらくは、脂っこい食事のあとに便がゆるくなるなどの変化がみられることがありますが、多くは時間の経過とともに落ち着くとされています。
摘出後の体の変化については「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」で詳しくご紹介しています。
手術時間と麻酔
手術は全身麻酔で行います。麻酔が効いている間に手術を行うため、手術中に痛みを感じることはありません。
手術時間は、胆のうの炎症の程度などによって異なりますが、1〜2時間程度が目安です。麻酔の準備や、手術後に目が覚めるまでの時間を含めると、手術室にいる時間はこれより長くなります。
胆のうの炎症が強い場合や、過去のお腹の手術による癒着がある場合などは、手術の難易度や所要時間が変わります。実際の見通しは、検査結果をもとに医師がご説明します。
手術が必要になるのはどんなとき
胆のうの病気がすべて手術の対象になるわけではありません。手術が検討される代表的なケースをみていきましょう。
症状のある胆石
胆石があり、胆石発作や胆のう炎などの症状を起こしたことがある場合は、原則として手術が検討されます。
一度症状が出た胆石は、その後も発作や炎症を繰り返す可能性があるためです。胆石を薬で溶かす治療もありますが、対象となる胆石が限られ、治療に時間がかかるうえ、再発することもあります。根本的な治療は、胆のう摘出手術とされています。
胆のう炎の症状や受診の目安については「胆のう炎の症状とは?胆石の痛みとの違いと受診すべき危険なサイン」で詳しく解説しています。
胆のうポリープ・胆のう腺筋腫症で手術を検討する場合
胆のうポリープの多くは良性で、経過観察となります。ただし、大きさが10mmを超える場合や、経過観察中に大きくなる傾向がみられる場合は、がんとの区別が難しいことから手術が検討されます。
胆のうの壁が厚くなる胆のう腺筋腫症も、基本的には良性の病気です。検査を行ってもがんとの区別がつきにくい場合などには、手術を検討することがあります。
無症状でも手術を検討するケース
症状のない胆石は、定期的な検査による経過観察が基本です。
一方、症状がなくても手術を検討する場合があります。代表的なのは、胆石が3cmを超える場合、胆のうに石が多数詰まっている場合、胆のうの壁に厚みなどの変化がみられる場合です。
大きい胆石と手術の目安については「「胆石が大きい」と言われたら|手術の目安・放置の危険を専門医が解説」で詳しく解説しています。
手術が必要かどうかは、胆石やポリープの状態、症状、年齢、持病などを総合して判断します。当院における適応の考え方は「手術の適応」のページをご覧ください。
治療の流れ|手術はどのように行われるのか
手術を検討し始めてから、手術当日を迎えるまでの一般的な流れをご紹介します。
相談・検査から手術日決定まで
手術の前に、外来で診察と検査を行います。
腹部超音波(エコー)検査や血液検査に加え、必要に応じてCT検査やMRI検査を行い、胆石や胆のうの状態、胆管の走行などを確認します。あわせて、全身麻酔に備え、心電図や呼吸機能などの術前検査も行います。
検査結果をもとに、手術の必要性や方法、想定されるリスクについて医師から説明を受けます。内容に納得したうえで、手術日を決定します。疑問や不安がある場合は、この段階で確認しておきましょう。
手術当日の流れ
手術は全身麻酔で行います。麻酔が効き、眠った状態になってから手術を開始します。
一般的な内視鏡(腹腔鏡)手術では、おへそとその周辺に3〜4か所の小さな穴を開けます。炭酸ガスでお腹をふくらませ、カメラで内部を確認しながら、細い器具を使って手術を進めます。
胆のうにつながる管(胆のう管)と血管を専用のクリップで留めて切り離し、胆のうを肝臓からはがします。胆のうをおへその穴から取り出し、最後に傷を閉じて手術は終了です。
手術後は、麻酔からの回復状況を確認しながら安静に過ごします。歩行や飲水を再開する時期は、体の状態に合わせて判断します。
開腹手術との違いと、開腹手術に移行する場合
開腹手術は、みぞおちから右上腹部にかけてお腹を切開し、胆のうを摘出する方法です。内視鏡(腹腔鏡)手術より傷が大きく、痛みや回復までの期間の面で負担が大きくなる傾向があります。一方、炎症や癒着が強く、腹腔鏡での操作が難しい場合には、安全に手術を完遂するために開腹手術が必要となることがあります。
内視鏡(腹腔鏡)手術で開始した場合でも、手術中に強い炎症や癒着が確認されたときや、出血などにより安全な操作が難しいと判断されたときは、途中で開腹手術へ切り替えることがあります。
手術のリスク・合併症
胆のう摘出手術は確立された手術ですが、ほかの手術と同様にリスクがあります。起こりうる合併症を事前に知っておくことは、治療を検討するうえで大切です。
起こりうる合併症
胆のう摘出手術で起こりうる主な合併症は、次のとおりです。
- 出血
- 傷や腹腔内の感染
- 胆汁が漏れる(胆汁漏)
- 胆管の損傷
- 周囲の臓器の損傷
いずれも頻度は高くありませんが、状態によっては追加の処置や再手術が必要になる場合があります。
全身麻酔には、アレルギー反応や呼吸・循環への影響などのリスクもあります。持病のある方や、過去の麻酔で問題があった方は、事前に医師へお伝えください。
リスクを下げるために大切なこと
合併症のリスクをゼロにすることはできませんが、リスクを抑えるためにできることはあります。
一つは、手術前の検査で胆管の走行や胆石の位置を正確に把握しておくことです。あらかじめ解剖や病変の状態を確認しておくことで、手術中の予期しない事態を減らすことにつながります。
また、胆のう手術に習熟した外科医が執刀することも重要です。胆管損傷をはじめとする合併症を防ぐには、手術中の適切な判断と操作が欠かせません。
症状を繰り返している場合は、炎症が強くなる前に手術の時期を検討することも大切です。炎症や癒着が進むと、手術の難易度が高くなることがあります。
リスクについて気になる点があれば、手術前の説明時に医師へご相談ください。
入院で手術を行う場合
胆のう摘出手術は、多くの医療機関で入院のうえ行われています。入院手術の一般的な期間と、入院が適しているケースをご紹介します。
入院期間の目安
内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出手術の場合、入院期間は4〜7日程度が一般的な目安です。手術の前日または当日に入院し、手術後は痛みや食事の状況、傷の状態などを確認しながら退院を目指します。
炎症が強かった場合や開腹手術となった場合は、回復に時間がかかるため、入院期間が1〜2週間程度、あるいはそれ以上になることもあります。
入院期間については「胆石の入院期間はどのくらい?日帰り手術の適応と費用も解説」でも詳しく解説しています。
入院手術が適しているケース
次のような場合は、入院での手術が適しています。
- 急性胆のう炎など、炎症を起こしている状態で手術を行う場合
- 心臓や肺などに持病があり、手術後の経過観察が必要な場合
- 開腹手術となる可能性が高い場合
- ご高齢の方や、手術後にご自宅で安静を保つことが難しい方
入院手術には、手術後の体調変化に医療機関内で対応してもらえるという利点があります。その一方で、仕事や家庭の事情により、数日間の入院が難しい方もいらっしゃいます。条件が合う場合は、日帰り手術も選択肢となります。
日帰り手術という選択肢
日帰り手術とは、手術当日に来院し、その日のうちに帰宅する手術です。内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出手術は、患者さまの状態や生活環境などの条件が合えば、日帰りで行える場合があります。
日帰り手術の流れ
日帰り手術では、必要な検査と手術の説明を事前の外来受診で済ませておきます。
手術当日は朝に来院し、体調の確認と準備を行います。手術の内容は入院の場合と同様で、全身麻酔のもと、内視鏡(腹腔鏡)で胆のうを摘出します。
手術後は院内の回復スペースで数時間過ごし、麻酔からの回復を確認します。痛みや吐き気の程度、歩行や飲水ができるかなどを医師が確認し、帰宅できる状態と判断した場合は当日中にご帰宅いただけます。
帰宅後の生活上の注意点や、翌日以降の経過確認の方法についても、丁寧にご説明します。
日帰り手術のメリットと注意点
日帰り手術は、入院による生活への影響を抑えやすい点が特徴です。仕事や家事、育児、介護などで長期間自宅を空けにくい方も、治療を検討しやすくなります。住み慣れたご自宅で回復期間を過ごせることも利点の一つです。
ただし、手術当日は麻酔の影響が残るため、ご自身で車を運転することはできません。帰宅後に強い痛みや発熱などの変化があった場合は、医療機関への連絡や受診が必要です。当日の夜に付き添いの方がいることが望ましいなど、ご自宅の環境も含めて適応を判断します。
日帰り手術の適応は医師が診察のうえで判断します
日帰り手術は、すべての方に適しているわけではありません。
胆のうの炎症の程度、持病の有無、麻酔のリスク、ご自宅の環境などを総合し、日帰りでの手術が適切かどうかを医師が判断します。診察の結果、入院での手術をおすすめする場合もあります。
当院では、診察のうえ日帰り手術の適応と判断した方に、内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術を行っています。詳しい流れは「治療の流れ」のページをご覧ください。
手術にかかる費用の目安
手術を検討する際、費用は気になる点の一つです。健康保険を使った場合の一般的な目安をご紹介します。
保険適用と自己負担額の目安
内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出手術は、健康保険が適用される治療です。
腹腔鏡下胆のう摘出術の手術料は21,500点で、3割負担の場合の自己負担額は6万4,500円、概ね6万5千円です。これに麻酔、検査、薬剤などの費用が加わります。
入院して手術を受ける場合は、入院日数に応じた費用もかかり、3割負担での総額は15万〜20万円程度が一般的な目安とされています。日帰り手術では入院に伴う費用がかからないため、総額はこれより抑えられる傾向があります。
実際の自己負担額は、検査内容や入院日数、医療機関などによって異なります。手術を検討する際は、受診先の医療機関へ事前にご確認ください。
高額療養費制度について
医療費の自己負担を軽減する仕組みとして、高額療養費制度があります。1か月の保険診療にかかる自己負担額が、年齢や所得に応じて定められた上限額を超えた場合に、超過分が支給される制度です。
2026年8月診療分から自己負担限度額が見直されています。例えば、70歳未満で年収約370万〜約770万円の方が医療費100万円の治療を受けた場合、自己負担の上限は約9万3千円です。上限額は年齢、所得、医療費によって異なります。
制度の詳細やご自身の上限額は、加入している健康保険組合、協会けんぽ、市区町村などへご確認ください。
手術後の生活
手術後、どのくらいで普段の生活に戻れるのかは、多くの方が気になる点です。食事や仕事復帰の一般的な目安をご紹介します。
食事・仕事復帰の目安
飲水や食事を再開する時期は、手術後の回復状況や医療機関の方針によって異なります。一般には、状態を確認しながら消化のよいものから段階的に再開します。しばらくは脂っこい食事を控えめにし、体調をみながら通常の食事へ戻していきます。
仕事への復帰は、デスクワークであれば数日〜1週間程度が目安です。力仕事や激しい運動を伴う仕事では、傷の回復を待ち、1〜2週間程度みておくとよいでしょう。回復には個人差があるため、復帰の時期は医師と相談して決めてください。
術後に起こりうる体の変化
胆のうを摘出したあと、脂っこい食事を取った際に便がゆるくなる、お腹が張るといった変化がみられることがあります。多くは時間の経過とともに落ち着くとされていますが、症状が続く場合は医師へご相談ください。
摘出後の食事や長期的な体の変化については「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」で詳しく解説しています。
胆のう摘出手術に関するよくあるご質問
Q.胆のうを取っても本当に大丈夫ですか?
A.胆のうは胆汁をためておく臓器であり、胆汁をつくる臓器ではありません。摘出後も胆汁は肝臓から腸へ流れるため、消化の仕組みは保たれます。手術後しばらくは便がゆるくなるなどの変化がみられることがありますが、多くは時間とともに落ち着いていきます。
Q.手術は痛いですか?
A.手術は全身麻酔で行うため、手術中に痛みを感じることはありません。手術後は傷の痛みが出ますが、内視鏡(腹腔鏡)手術は傷が小さく、開腹手術に比べて痛みが軽い傾向があります。多くの場合、痛み止めで和らげることができます。なお、感じ方には個人差があります。
Q.傷跡は残りますか?
A.内視鏡(腹腔鏡)手術では、器具を入れる傷は5mm〜1cm程度ですが、胆のうを取り出すために、おへその傷は2〜3cmほど切開する必要があります。胆のうが大きい場合や胆石が大きい場合は、それに応じた傷の大きさが必要となります。傷の多くはおへその中やお腹のしわに隠れる位置にあり、時間の経過とともに目立ちにくくなっていきます。
Q.手術の前後に食事制限はありますか?
A.全身麻酔を安全に行うため、手術前は医療機関から指定された時間以降、絶食となります。手術後は、回復状況を確認しながら消化のよい食事から再開します。しばらくは脂っこい食事を控えめにしますが、通常、長期にわたる厳しい食事制限は必要ありません。
Q.仕事復帰はいつからできますか?
A.デスクワークであれば数日〜1週間程度、力仕事であれば1〜2週間程度が一般的な目安です。日帰り手術の場合も、手術翌日から軽い日常生活を再開できる方はいますが、回復には個人差があります。復帰時期は医師へご相談ください。
まとめ|胆のう摘出手術は確立された治療です
胆のう摘出手術は、症状のある胆石などに対する根本的な治療として確立された手術です。現在は内視鏡(腹腔鏡)による方法が標準で、開腹手術に比べて体への負担が少なく、条件が合えば日帰り手術も選択肢となります。
手術には健康保険が適用され、年齢や所得、医療費によっては高額療養費制度も利用できます。手術の適応やリスクは、胆石や胆のうの状態によって異なります。検査結果を踏まえ、医師と相談しながら治療方針を決めましょう。
手術をすすめられて迷っている場合も、まずはご自身の状態と、どのような治療が適しているのかを医師にご相談ください。
胆のう摘出手術のご相談は当院まで
大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニックは、胆石や胆のうポリープなど、胆のう疾患の診断と治療に特化したクリニックです。京都大学医学博士(肝胆膵移植外科学)・消化器外科専門医の院長が、診察から手術まで担当します。
診察のうえ日帰り手術の適応があると判断した方には、内視鏡(腹腔鏡)による摘出術を日帰りで行っています。当院はJR大阪駅から徒歩3分の場所にあり、土日祝も診療しております。
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