胆石を手術しないで治す方法はある?薬・破砕・経過観察を専門医が解説
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック、院長の岩村宣亜です。
胆石を指摘され、手術をすすめられたものの、「できれば切らずに治したい」「薬で溶かす方法はないのだろうか」とお考えの方は少なくありません。
結論からお伝えすると、胆石には手術以外の治療法もありますが、効果が期待できるのは、石の種類や大きさなどの条件を満たす一部の方に限られます。また、胆のうが残るため、治療後に再び石ができることも少なくありません。
この記事では、薬で溶かす治療や衝撃波で砕く治療の特徴と限界、手術をせずに経過をみてよい方と、手術を考えたほうがよい方の違いについて、専門医の立場からわかりやすく解説します。
結論|手術以外の治療を選べる方は限られます
「手術をせずに胆石を治す方法はあるのか」という疑問に、まずお答えします。
胆のうの石に対する手術以外の治療は主に2つ
胆のうの中にある石に対して、手術以外の方法で石そのものをなくすことを目指す治療には、主に次の2つがあります。
- 飲み薬で石を溶かす「経口胆石溶解療法」
- 体の外から衝撃波を当てて石を砕く「体外衝撃波胆石破砕療法」
ただし、どちらも効果が期待できるのは、石灰化していない小さな石で、胆のうの働きが保たれているなどの条件を満たす場合に限られます。
なお、胆石発作のときに使う痛み止めや、けいれんを抑える薬は、痛みを和らげるためのものであり、石をなくす治療ではありません。
どちらも胆のうが残るため、再発しやすいという弱点があります
手術との大きな違いは、治療後も胆のうが残ることです。胆石は、胆のうの中で胆汁の成分が固まってできます。石を溶かしたり砕いたりしても、石ができやすい胆のうの状態が変わらなければ、再び石ができることがあります。
欧州肝臓学会の診療ガイドラインでは、溶解療法などで石がなくなった後の再発率は、5年で25〜64%、10年で49〜80%と報告されています。こうした結果から、同ガイドラインでは、胆のう結石に対する溶解療法や破砕療法は推奨されていません。2)
それぞれの治療の特徴について、次の章から詳しくご説明します。
飲み薬で溶かす「経口胆石溶解療法」
経口胆石溶解療法は、ウルソデオキシコール酸(ウルソ)という胆汁酸の飲み薬を毎日服用し、石を少しずつ溶かしていく治療です。
対象になるのは、条件を満たすコレステロール胆石のみ
この治療で溶かせるのは、コレステロールを主な成分とする胆石だけです。ビリルビンなどを主な成分とする色素胆石は溶けません。
さらに、次のような条件をすべて満たす必要があります。
- 石の外側が石灰化していない
- 石が小さい(一般に直径15mm以下)
- 胆のうの縮む働きが保たれ、胆のう管が通っている
これらの条件は、腹部超音波検査を中心に、必要に応じてCT検査などを組み合わせて判断します。
効果が出るまでの期間と、溶けた後の再発
効果が出るまでには時間がかかります。少なくとも6か月以上の服用が必要で、石の大きさによっては1〜2年ほどかかることもあります。
また、服用を続けても、すべての石が溶けるわけではありません。複数のランダム化比較試験をまとめた解析では、十分な量を6か月以上服用した場合でも、石が完全に溶けたのは約38%でした。直径10mm未満の小さな石のほうが溶けやすいことも示されています。3)
さらに、前の章でご説明したとおり、石が溶けた後も胆のうは残るため、再発することが少なくありません。
薬の効果や副作用、服用中の注意点については、「胆石は薬で溶かせる?ウルソの効果と限界、手術が必要なケースを解説」で詳しく解説しています。
衝撃波で砕く「体外衝撃波胆石破砕療法」
体外衝撃波胆石破砕療法は、ESWLとも呼ばれる治療です。
どのような治療か
体の外から胆のうの石に向けて衝撃波を当て、石を細かく砕く治療です。砕けたかけらは、胆汁の流れに乗って胆管から十二指腸へ流れ出ることが期待されます。多くの場合、かけらを溶かしやすくするため、前の章でご説明した溶解療法の飲み薬もあわせて服用します。
この治療も、対象となる方は限られます。ベルギーで693人を対象に行われた研究では、効果が期待できるのは、石灰化していない直径20mm未満の石が1個だけある場合であり、治療の対象をこうした方に限るべきだと結論づけられています。4)
現在はほとんど行われていない理由
日本の胆石症診療ガイドラインでは、体外衝撃波による破砕療法について、これまで胆のう結石の治療に用いられてきたものの、近年はほとんど行われていないとされています。1)
欧州の診療ガイドラインでも、破砕療法は治療成績が十分ではないとされています。条件を満たす方を慎重に選んで治療しても、石がなくなったのは55%にとどまり、石がなくなった後も長期的に再発しやすいと報告されています。こうしたことから、同ガイドラインでは、溶解療法と組み合わせた破砕療法も推奨されていません。2)
「石だけ取る」「内視鏡で取る」ことはできるのか
手術以外の方法を調べていると、「胆のうを残して石だけ取れないか」「内視鏡で石を取り出せないか」という疑問を持たれる方もいらっしゃいます。
胆のうを残して石だけ取る方法は、標準的な治療ではありません
おなかに小さな穴を開けて胆のうから石だけを取り出し、胆のうは残すという方法が紹介されることがあります。
しかし、欧州の診療ガイドラインで、症状のある胆のう結石に対して推奨されている治療は胆のう摘出です。2) 胆のうを残して石だけを取る方法は、推奨される治療として挙げられていません。
また、この方法では胆のうが残るため、溶解療法や破砕療法と同じように、石が再びできる可能性が残ります。
内視鏡で取り出せるのは胆管に落ちた石
口から内視鏡を入れ、十二指腸の出口から胆管内の石を取り出す治療があります。ただし、この治療の対象は、胆のうから胆管へ落ちた石(総胆管結石)です。胆のうの中にある石を取り出すことはできません。
また、胆管の石を取り除いても、胆のうに石が残っていれば、胆石による症状や合併症を繰り返すおそれがあります。胆のうと胆管の両方に石がある方には、内視鏡で胆管の石を取り除いた後、72時間以内に胆のう摘出手術を行うことが推奨されています。
なお、当院で行っている「内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術」は、おなかに小さな穴を開けてカメラと器具を入れる手術です。口から入れる内視鏡による治療とは異なります。
手術をしなくてよい方、手術を考えたほうがよい方
胆石があっても、すべての方に治療が必要なわけではありません。症状の有無や、石と胆のうの状態によって考え方が変わります。
症状がなければ経過観察が基本です
健診などで見つかる胆石の多くは、症状のない無症状胆石です。胆石症診療ガイドラインに引用されている研究では、胆石のある方の約70%には症状がなく、10年間で症状が出る方は10〜20%程度と推計されています。1)
そのため、症状のない胆石に対して、予防のために胆のうを取る手術は基本的にすすめられていません。定期的に腹部超音波検査を受け、石や胆のうの状態に変化がないかを確認していくことが基本です。
放置した場合に起こりうることについては、「胆石をほっとくとどうなる?自然に治るのか、受診の目安を解説」で解説しています。
症状がなくても手術を検討するケース
ただし、症状がなくても、胆のうがんのリスクが高いとされる次のような場合には、胆のう摘出を検討するとされています。
- 直径3cmを超える石がある
- 胆のうの壁が厚くなっている
- 胆のうの壁が石灰化している(陶器様胆のう)
- 10mmを超える胆のうポリープがある
大きな胆石については「「胆石が大きい」と言われたら|手術の目安・放置の危険を専門医が解説」で詳しく解説しています。
症状がある方は胆のう摘出が標準的な治療です
食後のみぞおちや右上腹部の痛みなど、胆石による症状がある方に対しては胆のう摘出が推奨されています。
一方、症状が軽く、胆のう炎などの合併症を起こしていない434人を対象に、イギリスで行われたランダム化比較試験があります。この研究では、手術をせずに経過をみたグループと手術を受けたグループの間で、18か月間の痛みに関する生活の質に差はみられませんでした。ただし、経過をみたグループでも、18か月までに25%の方が手術を受けています。また、研究者は、より長い期間の結果を確かめる必要があるとしています。5)
つまり、症状が軽い方には、すぐに手術を決めずに経過をみるという選択肢もあります。どちらを選ぶかは、症状の程度や生活への影響、石と胆のうの状態をふまえ、医師と相談しながら決めることが大切です。
手術に不安がある方に知っていただきたいこと
「手術をしないで治したい」とお考えの背景には、手術そのものへの不安があるかもしれません。胆のう摘出手術について、知っておいていただきたいことをお伝えします。
内視鏡(腹腔鏡)による手術で体への負担を抑えられます
現在の胆のう摘出手術は、おなかを大きく切るのではなく、内視鏡(腹腔鏡)を使って行う方法が一般的です。おへそとその周辺に3〜4か所の小さな穴を開け、カメラと細い器具を入れて胆のうを取り出します。手術は全身麻酔で行い、手術時間は1〜2時間程度が目安です。
仕事への復帰は、デスクワークであれば数日〜1週間程度が目安です。また、条件が合えば、入院せずに日帰りで手術を受けることもできます。日帰り手術が適しているかどうかは、胆のうの炎症の程度や持病の有無、麻酔のリスク、ご自宅の環境などをふまえて医師が判断します。
手術の流れや費用については「胆のう摘出手術とは?治療の流れ・費用・日帰り手術の適応を解説」で詳しく解説しています。
胆のうを取った後の生活
「胆のうを取ってしまって大丈夫なのか」と心配される方も少なくありません。胆のうは、胆汁を一時的にためておく袋です。胆汁そのものは肝臓でつくられており、胆のうを取った後も肝臓から腸へ流れ続けるため、食べ物の消化は保たれます。
手術後しばらくは、脂っこい食事をとったときに便がゆるくなったり、おなかが張ったりすることがありますが、多くは時間の経過とともに落ち着くとされています。詳しくは「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」をご覧ください。
手術を急がず、相談しながら決めることができます
前の章でご説明したとおり、症状がない方や症状が軽い方では、経過観察で様子をみることも少なくありません。
当院では、手術ありきではなく、検査の結果や症状、生活のご事情を伺ったうえで、経過観察を続けるか、手術を検討するかを患者さまと相談しながら決めてまいります。手術を受けるかどうか迷っている段階でのご相談にも応じています。
胆石の手術以外の治療に関するよくあるご質問
Q.食事や漢方薬で胆石を治すことはできますか?
すでにできている胆石を、食事で溶かしたり取り除いたりすることはできません。また、サプリメントや漢方薬で胆石が溶ける、あるいは小さくなるという確かな医学的根拠もありません。胆石を溶かす効果が医薬品として認められているのは、ウルソデオキシコール酸などの飲み薬に限られます。
食事の見直しは、石を治すためではなく、食後の痛みを誘発しやすい食べ方を避けることが目的です。詳しくは「胆石の食事で食べてはいけないものは?控える食品とよい食品を解説」で解説しています。
Q.薬で石が溶けたら、治療は終わりですか?
石が溶けても、胆のうが残っている限り、再び石ができることがあります。欧州の診療ガイドラインでは、石がなくなった後の再発率は、5年で25〜64%と報告されています。2)
石が溶けた後も、定期的に超音波検査を受けて状態を確認することが大切です。
Q.高齢でも手術を受けられますか?
年齢だけで、手術ができるかどうかが決まるわけではありません。心臓や肺の状態、持病、体力などの全身状態をふまえて、手術や麻酔のリスクを判断します。
高齢の方や持病のある方では、日帰りではなく、入院での手術が適している場合もあります。まずは検査結果をお持ちのうえ、ご相談ください。
Q.手術をしないと、必ず悪化しますか?
必ず悪化するわけではありません。症状のない胆石では、10年間で症状が出る方は10〜20%程度と推計されています。
ただし、症状が出た場合や、石が大きい、胆のうの壁が厚いといった場合には、治療を検討します。経過観察中に強い腹痛や発熱、皮膚や白目が黄色くなるといった症状が出たときは、早めに医療機関を受診してください。
まとめ|治療の選択肢と限界を知り、医師と相談して決めましょう
胆石には、薬で溶かす溶解療法や、衝撃波で砕く破砕療法といった手術以外の治療もあります。ただし、対象となるのは、条件を満たす一部の方に限られます。また、治療後も胆のうが残るため、再発しやすいという弱点があります。
一方、症状のない胆石の多くは経過観察で様子をみることができ、症状が軽い方にも、すぐに手術を決めずに経過をみる選択肢があります。
大切なのは、手術をするかどうかを一人で決めてしまうのではなく、検査で石と胆のうの状態を確認したうえで、医師と相談しながらご自身に合った方法を選ぶことです。
胆石の治療で迷っている方は当院までご相談ください
大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニックは、胆石・胆のうポリープなど、胆のう疾患の診断と治療に特化した専門クリニックです。京都大学医学博士(肝胆膵移植外科学)・消化器外科専門医の院長が、診察から手術まで担当いたします。
「手術をしないで様子をみてよいのか」「手術を受けるべきか迷っている」といったご相談にも応じています。健診などの検査結果票をお持ちのうえ、ご来院ください。
診察のうえ、日帰り手術の適応と判断した方には、内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術を日帰りで行っています。
JR大阪駅から徒歩3分、土日祝も診療しています。
受診のご予約は、お電話またはWeb予約から受け付けています。また、医師によるLINE無料相談も行っています。お気軽にご相談ください。
参考文献
1) 日本消化器病学会編. 胆石症診療ガイドライン2021(改訂第3版). 南江堂, 2021.
2) European Association for the Study of the Liver. EASL Clinical Practice Guidelines on the prevention, diagnosis and treatment of gallstones. J Hepatol. 2016;65(1):146-181.
3) May GR, Sutherland LR, Shaffer EA. Efficacy of bile acid therapy for gallstone dissolution: a meta-analysis of randomized trials. Aliment Pharmacol Ther. 1993;7(2):139-148.
4) Elewaut A, Crape A, Afschrift M, et al. Results of extracorporeal shock wave lithotripsy of gall bladder stones in 693 patients: a plea for restriction to solitary radiolucent stones. Gut. 1993;34(2):274-278.
5) Ahmed I, Hudson J, Innes K, et al. Effectiveness of conservative management versus laparoscopic cholecystectomy in the prevention of recurrent symptoms and complications in adults with uncomplicated symptomatic gallstone disease (C-GALL trial): pragmatic, multicentre randomised controlled trial. BMJ. 2023;383:e075383.
