胆のう炎の症状とは?胆石の痛みとの違いと受診すべき危険なサイン
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック 院長の岩村宣亜です。
「右のお腹の痛みが何時間も続いている」「熱や吐き気もあり、いつもの胆石の痛みと様子が違う」。そのような症状は、胆のう炎のサインかもしれません。
胆のう炎は、放置すると命に関わる状態へ進行することもある病気です。一方で、胆石発作の痛みと似ているため、受診すべきか迷う方が少なくありません。
この記事では、胆のう炎の主な症状、胆石の痛みとの見分け方、すぐに受診すべき危険なサインを、専門医の立場からわかりやすく解説します。
胆のう炎の主な症状|まずはセルフチェック
胆のう炎になると、お腹の痛みを中心に、いくつかの特徴的な症状が現れます。まずはご自身の症状と照らし合わせてみましょう。
典型的な症状チェックリスト
胆のう炎で多くみられる症状は、次のとおりです。
- 右上腹部の持続する痛み
- みぞおちの痛み
- 右上腹部を手で押すと痛みが強くなる
- 息を深く吸ったときに響く痛み
- 38度以上の発熱や悪寒(寒気・ふるえ)
- 吐き気、嘔吐
- 食欲の低下
痛みは右上腹部だけでなく、背中や右肩のあたりまで広がる場合もあります。
これらのうち、特に重要なサインは「痛みが続くこと」と「発熱」です。数時間たってもおさまらない右上腹部の痛みに熱が加わっている場合は、胆のう炎の可能性を考える必要があります。
複数の項目に当てはまる場合は、様子を見ずに医療機関の受診を検討ください。
初期症状の特徴
胆のう炎の始まりは、脂っこい食事のあとの重苦しい痛みであることが少なくありません。
天ぷらや揚げ物、脂の多い肉などを食べたあと、みぞおちから右上腹部にかけて、鈍い痛みや圧迫感が現れます。はじめは「胃もたれかな」と感じる程度のこともあります。
しかし胆のう炎の場合、この痛みは時間とともに強くなり、持続的な激しい痛みへと変わっていくのが典型的な経過です。
また、発症のきっかけとなる食事から数時間たって痛みが強まるケースもあるため、「食べた直後ではないから違う」とは判断できません。
ご高齢の方・糖尿病の方は症状が出にくいことがある
注意していただきたいのは、胆のう炎になっても典型的な症状が現れない方がいることです。
ご高齢の方や糖尿病のある方は、痛みや熱が出にくい場合があるとされています。加齢によって炎症に対する体の反応が弱まることや、糖尿病にともなう神経の障害によって内臓の痛みを感じにくくなることが、理由として考えられています。
「なんとなく元気がない」「食欲がない」「微熱が続く」といった、あいまいな変化だけで炎症が進行していることもあります。このような場合、受診が遅れて重症化しやすいことが知られています。
はっきりした痛みがなくても、体調の変化が続く場合は、早めに医療機関へご相談ください。
胆石の痛みとの違い|見分けるポイントは「持続時間」と「発熱」
胆のう炎の痛みは、胆石発作の痛みとよく似ています。見分けるうえで大切なのが「痛みがどれくらい続くか」と「熱があるか」の2点です。
胆石発作の痛みは数時間でおさまることが多い
胆石発作とは、胆石が胆のうの出口に一時的にはまり込むことで起こる、突然の強い痛みです。
脂っこい食事のあとや夜間に、みぞおちから右上腹部にかけて激しい痛みが現れます。ただし、胆石が外れて胆汁の流れが戻れば痛みは引くため、多くの場合は15分から数時間程度でおさまるとされています。
このときの痛みには、通常、高い熱はともないません。
胆石発作の痛みの特徴や対処法の詳細については、「胆石発作が起きたら?痛みの特徴・対処法と受診すべき危険サイン」をご覧ください。胆石の症状全般については「胆石の症状とは?痛む場所・初期症状と受診すべき危険なサイン」で解説しています。
痛みが続く・熱が出るのは胆のう炎に進行しているサイン
一方、胆のう炎の痛みは自然にはおさまりにくいのが特徴です。
胆石が出口にはまり込んだままになると、胆のうの中に胆汁がたまり続け、細菌の感染が加わって炎症が起こります。こうなると、痛みは一時的な発作では終わらず、持続的に続きます。
目安として、強い痛みが6時間以上続く場合や、痛みに発熱・悪寒がともなう場合は、胆のう炎に進行している可能性があります。
「いつもの発作ならとっくにおさまっているはず」と感じたら、それは受診すべきサインです。
胆石を放置すると胆のう炎につながる理由
胆のう炎の約9割は、胆石が原因で起こるとされています。
おさまる発作を繰り返していても、あるとき胆石が胆のうの出口に詰まったままになると、胆汁の流れが止まり、細菌感染が加わって炎症が起こります。「痛みは毎回おさまるから大丈夫」と放置しているうちに、ある日、胆のう炎として発症することがあります。
無症状の胆石も含め、放置した場合のリスクについては「胆石をほっとくとどうなる?自然に治るのか、受診の目安を解説」で詳しく解説しています。
受診すべき危険なサイン
胆のう炎が疑われるとき、どの段階で受診すべきか迷う方は多いものです。ここでは、受診をためらってはいけないサインと、放置した場合に何が起こるかを解説します。
すぐに受診が必要な症状
次のような症状がある場合は、時間帯を問わず、すみやかに医療機関を受診してください。
- 我慢できないほどの強い腹痛が続いている
- 38度以上の高熱や、ふるえをともなう悪寒がある
- 皮膚や白目が黄色くなっている(黄疸)
- 尿の色が濃い茶色になっている
- 意識がもうろうとする、ぐったりしている
黄疸や濃い色の尿は、胆石が胆管(胆汁の通り道)に落ちて詰まり、胆管炎を合併している可能性を示すサインです。胆管炎は胆のう炎よりも急速に重症化することがあり、特に注意が必要です。
放置した場合のリスク
胆のう炎を放置すると、炎症が進行して次のような状態に至ることがあります。
- 胆のうの壁が腐ってしまう(壊疽性胆のう炎)
- 胆のうに穴が開き、お腹の中に胆汁が漏れる(穿孔)
- 細菌が血液に入り込み、全身に炎症が広がる(敗血症)
敗血症まで進行すると、命に関わる状態となります。
「痛みが少し軽くなったから」と受診を先延ばしにしている間にも、炎症が進行している場合があります。症状が出てから受診までの時間が短いほど、治療の選択肢は広がります。
夜間・休日の場合の受診先
強い痛みや高熱がある場合は、夜間や休日であっても、救急外来のある病院の受診を検討してください。
症状が比較的軽く、日中に受診できる場合は、消化器内科や消化器外科など、専門の医療機関へのご相談をおすすめします。何科を受診すべきか迷う場合は「胆石は何科を受診する?受診の目安と検査・治療について解説」も参考にしてください。
胆のう炎の原因|約9割は胆石
胆のう炎はなぜ起こるのでしょうか。原因を知ることは、予防や再発防止にもつながります。
胆石が胆のうの出口をふさぐメカニズム
胆のうは、肝臓でつくられた胆汁を一時的にためておく、袋状の臓器です。食事をすると胆のうが収縮し、胆汁を送り出します。
このとき、胆のうの中にできた胆石が出口(胆のう管)に詰まると、胆汁の行き場がなくなります。たまった胆汁の中で細菌が増え、胆のうの壁に炎症が起こった状態が胆のう炎です。
「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(TG18)」では、急性胆のう炎の約9割は胆石が原因とされています。
胆石以外の原因
胆石がないのに胆のう炎が起こる場合もあり、無石胆のう炎と呼ばれます。
無石胆のう炎は、大きな手術やけがのあと、長期間の絶食、重い病気の治療中など、胆のうの動きが低下して胆汁がうっ滞する状況で起こりやすいとされています。動脈硬化や糖尿病が関与する場合もあります。
また、脂質の多い食事や不規則な食生活、ストレスは、胆石ができやすくなる要因として指摘されています。直接の原因ではなくても、生活習慣が胆のう炎のリスクに関わっていると考えられています。
急性胆のう炎と慢性胆のう炎の違い
胆のう炎には、急性と慢性があります。
急性胆のう炎は、これまで解説してきたような、持続する強い痛みや発熱をともなう急激な炎症です。
一方、慢性胆のう炎は、胆石の刺激や軽い炎症が長期間繰り返されることで、胆のうの壁が厚く硬くなった状態です。症状は軽く、食後にみぞおちや右上腹部の鈍い痛みを感じる程度で、自覚症状がないまま経過する場合もあります。
ただし、慢性胆のう炎があると胆のうの機能が低下しているため、急性の炎症を起こすことがあります。「軽い痛みだから」と放置せず、繰り返す違和感があれば検査を受けることをおすすめします。
胆のう炎の検査と診断
胆のう炎が疑われる場合、問診と診察に加えて、いくつかの検査を組み合わせて診断します。いずれも体への負担が少ない検査が中心です。
腹部超音波(エコー)検査・血液検査・CT検査
診断の基本となるのは、次の3つの検査です。
腹部超音波(エコー)検査
お腹の表面に器具をあて、超音波を用いて胆のうの状態を画像で確認します。胆のうの腫れや壁の厚み、胆石の有無がわかる、診断の中心となる検査です。放射線を使わないため、体への負担はほとんどありません。
血液検査
白血球やCRPといった、炎症の程度を示す数値を調べます。肝臓や胆道に関わる数値もあわせて確認します。
CT検査
炎症の広がりや、穿孔などの合併症が疑われる場合に行います。超音波検査ではわかりにくい情報を補う検査です。
診断ガイドライン(TG18)にもとづく重症度の判定
胆のう炎の診断は、「急性胆管炎・胆嚢炎診療ガイドライン2018(TG18)」にもとづいて行われます。
このガイドラインでは、診察の所見、血液検査の炎症数値、画像検査の結果を組み合わせて診断し、さらに重症度を軽症・中等症・重症の3段階に分類します。
重症度によって、すぐに手術を行うか、まず炎症を抑える治療を優先するかといった治療方針が変わります。適切な治療を行うには、まずは正確な診断と重症度の判定が欠かせません。
胆のう炎の治療|根本的な治療は胆のう摘出手術
胆のう炎の治療には、炎症を抑える保存的治療と、原因を取り除く手術があります。それぞれの位置づけを解説します。
保存的治療(絶食・点滴・抗菌薬)と再発のリスク
胆のう炎と診断された場合、まず行われるのが保存的治療です。
胆のうを休ませるために絶食とし、点滴で水分と栄養を補いながら、抗菌薬で細菌の感染を抑えます。痛みに対しては鎮痛薬を使用します。炎症が強い場合には、胆のうにたまった胆汁を体の外へ出す処置(ドレナージ)を行うこともあります。
ただし、保存的治療は炎症を抑える治療であり、原因である胆石はそのまま残ります。胆石が残っている限り、胆のう炎が再発する可能性があるため、多くの場合、後日あらためて手術が検討されます。
内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術
胆のう炎の根本的な治療は、胆のうを摘出する手術です。
現在は、お腹に小さな穴を数か所開けて行う、内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術が標準的な方法です。開腹手術に比べて傷が小さく、体への負担が少ないため、回復も早いとされています。
急性胆のう炎では、炎症が軽いうちに早期の手術を行うことが推奨されています。炎症が進んでからの手術は難易度が上がり、開腹手術への移行や合併症のリスクが高くなるためです。
なお、手術には出血、感染、胆汁漏れ、胆管損傷などの合併症の可能性があります。頻度は高くありませんが、こうしたリスクの説明を受けたうえで治療方針を決めることが大切です。
胆のうを摘出したあとの体の変化については「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」で詳しく解説しています。
胆のう炎になる前に|胆石の段階での計画的な手術という選択肢
ここまで解説したとおり、胆のう炎を発症すると、入院のうえ緊急の対応が必要になる場合があります。
一方、症状のある胆石の段階で計画的に手術を行えば、落ち着いた状態で治療を行うことができます。炎症が起きていない胆のうの手術は体への負担も少なく、条件が合えば日帰り手術の対象となる場合もあります。
当院では、内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術を日帰りで行っております。ただし、日帰り手術がすべての方に適応となるわけではなく、医師が診察のうえで判断いたします。
胆石の手術や入院期間、日帰り手術の適応については「胆石の入院期間はどのくらい?日帰り手術の適応と費用も解説」をご覧ください。
胆のう炎を予防するために
胆のう炎の多くは胆石が原因です。そのため予防の基本は、胆石をつくらないこと、そして胆石があるとわかったら放置しないことです。
食生活・生活習慣で気をつけること
胆石の予防には、日々の食生活と生活習慣の見直しが大切です。
- 脂質の多い食事をとりすぎない
- 朝食を抜かず、規則正しく食事をとる
- 食物繊維(野菜・きのこ・海藻など)を意識してとる
- 適度な運動を習慣にする
- 急激なダイエットは避ける
食事の間隔が長く空くと、胆のうの中に胆汁が濃縮された状態が続き、胆石ができやすくなるとされています。規則正しい食事は、それだけで胆石の予防につながります。
健診で胆石を指摘されている方へ
健康診断や人間ドックで胆石を指摘されたものの、症状がないため受診していないという方は少なくありません。
無症状の胆石は、必ずしもすぐに治療が必要なわけではありません。ただし、胆石がある以上、今後、胆石発作や胆のう炎を起こす可能性はゼロではありません。
一度、専門の医療機関で胆石の大きさや状態を確認し、経過観察でよいのか、治療を検討すべきなのかを把握しておくことをおすすめします。
胆のう炎に関するよくあるご質問
Q.胆のう炎は自然に治りますか?
A.軽い炎症であれば、絶食などで症状がおさまる場合もあります。ただし、原因である胆石が残っている限り再発の可能性があり、放置すると重症化するおそれもあります。自己判断で様子を見ず、医療機関を受診してください。
Q.入院期間はどのくらいですか?
A.炎症の程度や治療の内容によって異なりますが、急性胆のう炎の入院期間は1〜2週間程度となる場合が多いとされています。炎症が重い場合や合併症がある場合は、さらに長くなることもあります。詳しくは「胆石の入院期間はどのくらい?日帰り手術の適応と費用も解説」をご覧ください。
Q.痛みが一度おさまったら、受診しなくてもよいですか?
A.痛みがおさまっても、受診をおすすめします。胆石発作は繰り返すことが多く、そのたびに胆のう炎へ進行するリスクがあります。症状が落ち着いているときこそ、今後の治療方針を検討いただくことをおすすめします。
Q.何科を受診すればよいですか?
A.消化器内科・消化器外科が専門です。手術を検討する段階であれば、内視鏡(腹腔鏡)手術に対応する消化器外科のある医療機関が適しています。詳しくは「胆石は何科を受診する?受診の目安と検査・治療について解説」をご覧ください。
まとめ|痛みが続く・熱があるときは早めの受診を
胆のう炎は、右上腹部の持続する痛みや発熱を特徴とする病気で、約9割は胆石が原因です。数時間でおさまる胆石発作と違い、痛みが続く場合や熱をともなう場合は、胆のう炎に進行している可能性があります。
放置すると胆のうの壊死や敗血症など、命に関わる状態へ進行するおそれもあります。危険なサインに当てはまるときは、すみやかに医療機関を受診してください。
また、健診などで胆石を指摘された方は、症状がない場合でも一度、医療機関で状態を確認しておくことをおすすめします。
胆石など胆のう疾患は当院までご相談ください
胆のう炎の約9割は胆石が原因です。つまり、胆石の段階で治療しておくことが、胆のう炎の最も確実な予防になります。
大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニックは、胆石・胆のうポリープなど、胆のう疾患の診断と治療に特化した専門クリニックです。京都大学医学博士(肝胆膵移植外科学)・消化器外科専門医の院長が、診察から手術まで担当いたします。
診察のうえ日帰り手術の適応と判断した方には、内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術を日帰りで行っています。JR大阪駅から徒歩3分、土日祝も診療しています。
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