胆のうポリープががんである確率は?症状や良性との違い、治療も解説
大阪・梅田の大阪日帰り外科胆のう・胆石クリニック、院長の岩村宣亜です。
健康診断や人間ドックの超音波検査で胆のうポリープを指摘され、「がんだったらどうしよう」「がんになる確率はどのくらいなのか」と不安を抱えている患者さまは少なくありません。
胆のうポリープの大部分は良性で、がんが見つかるのは一部に限られます。ただし、ポリープの大きさや形などによって、がんの可能性は変わります。まずは、ご自身のポリープがどのような状態にあるのかを正しく知ることが大切です。
この記事では、胆のうポリープががんである確率の目安、良性と悪性の違い、胆のうがんの症状、手術後にがんと分かった場合の治療と見通しについて解説します。
結論|胆のうポリープの大部分は良性です
胆のうポリープは、胆のうの内側にできる隆起の総称です。健康診断の超音波検査で見つかることが多く、決して珍しいものではありません。米国で約62万人を対象に行われた大規模な調査では、超音波検査を受けた方の約6%に胆のうポリープが見つかりました1)。
そして、その大部分はがんとは関係のない良性のポリープです。
ポリープの多くはコレステロールポリープ
胆のうポリープのなかで最も多いのは、胆汁に含まれるコレステロールが胆のうの壁に沈着してできる「コレステロールポリープ」です。数mm程度の小さなものが多く、複数できることもあります。コレステロールポリープそのものが、がんに変化することはないと考えられています。
このほかにも、過形成ポリープや炎症性ポリープなど、良性のポリープがあります。一方で、頻度は低いものの、将来がんになる可能性がある「腺腫」や、最初からがんであるものも含まれます。
がんが含まれる割合
では、がんが含まれる割合はどのくらいなのでしょうか。前述の米国の調査では、胆のうポリープが見つかった約3万6,000人のうち、その後に胆のうがんと診断されたのは19人(約0.05%)でした。この割合は、ポリープがなかった方とほぼ同じでした1)。
つまり、胆のうポリープがあるというだけで、がんの危険性が大きく高まるわけではありません。ただし、ポリープの大きさや形によって、がんの可能性は変わります。次の章で詳しく説明します。
良性と悪性の違い|がんの可能性が高くなる特徴
胆のうポリープが良性か悪性かは、超音波検査などの画像だけでは確定できません。そのため、実際の診療では、ポリープの大きさや形、経過中の変化などから、がんの可能性が高いか低いかを判断します。
大きさとがんの割合
がんの可能性を考えるうえで、最も重要なのがポリープの大きさです。
前述の米国の調査では、胆のうがんと診断された頻度は、6mm未満のポリープでは年間10万人あたり1.3人でした。これに対して、10mm以上のポリープでは年間10万人あたり128.2人と、約100倍の差がありました1)。
欧州の消化器・放射線関連の学会による合同ガイドラインでは、大きさに応じて次のような対応が勧められています2)。
- 10mm以上:手術を受けられる状態であれば、胆のう摘出術を検討する
- 6〜9mm:後述のリスク因子があれば胆のう摘出術を検討し、なければ6か月後・1年後・2年後に超音波検査で経過をみる
- 5mm以下:リスク因子がなければ、経過観察の必要性は低い
なお、日本では5mm以下の小さなポリープでも、健康診断などで引き続き確認していくことが一般的です。
がんの可能性を高めるそのほかの特徴
大きさのほかにも、次のような場合は、がんの可能性を考えて慎重に評価する必要があります2)。
- ポリープの根元が幅広い形(広基性)をしている、または胆のうの壁が部分的に厚くなっている
- 経過観察中にポリープが大きくなっている
- 60歳以上である
- 原発性硬化性胆管炎(胆管に慢性的な炎症が起こる病気)がある
同じガイドラインでは、日本人を含むアジア系であることも、リスク因子の一つに挙げられています。
特に、経過観察中にポリープが大きくなる場合は注意が必要です。2年以内に2mm以上大きくなった場合は手術も含めて対応を検討し、10mmに達した場合は胆のう摘出術が勧められています。
画像検査でがんを疑う所見や、ポリープの種類ごとの特徴については、「胆のうポリープは手術が必要?大きさ別の対応とがんの見分け方を解説」で詳しく解説しています。
胆のうポリープなど胆のう疾患でお悩みの場合は当院までご相談ください
当院では、胆のうポリープなど胆のう疾患に対して適切な診断を行い、患者さま一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
手術が必要かどうかを含めて専門医が丁寧に診断します。お気軽にご相談ください。
JR大阪駅から徒歩3分・土日祝も診療
「がんだった」と分かるのはどんなときか
「手術をしたら、ポリープががんだった」というケースでは、どのように診断が確定するのでしょうか。
手術で取った胆のうの病理検査で確定します
胆のうは、胃や大腸のように内視鏡で組織の一部を取って調べる検査(生検)を行うことが難しい臓器です。そのため、手術前は、腹部超音波(エコー)検査やCT、MRI、超音波内視鏡(EUS)などの画像検査を組み合わせて、がんの可能性を総合的に判断します。
そのうえで、がんかどうかの最終的な診断は、手術で摘出した胆のうを顕微鏡で詳しく調べる病理検査によって確定します。病理検査では、ポリープの種類のほか、がんであった場合には、がんが胆のうの壁のどの深さまで広がっているか(深達度)も調べます。この結果は、その後の治療方針を決めるうえで欠かせない情報です。
良性と考えて手術し、がんが見つかる場合
胆のうポリープだけでなく、胆石などの良性の病気で胆のうを摘出した場合にも、病理検査で初めてがんが見つかることがあります。これを「偶発胆のうがん」と呼びます。
良性の病気で胆のう摘出術を受けた約44万人を対象とした研究のまとめでは、病理検査でがんが見つかった割合は約0.6%でした3)。
手術前の画像検査では、胆のうの壁の浅い部分にとどまる小さながんを見つけきれないことがあります。10mm以上のポリープや、大きくなっているポリープで手術が勧められるのは、こうしたがんの可能性を病理検査で確かめ、早い段階で治療につなげるためでもあります。
病理検査でがんと分かった場合の治療については、次の章で解説します。
胆のうがんの症状と、がんだった場合の治療
胆のうがんは、早い段階で見つかるかどうかで、治療の内容や見通しが大きく変わります。症状の特徴と、がんと分かった場合の治療について解説します。
胆のうがんの症状|早期はほとんど症状がありません
早期の胆のうがんは、ほとんど自覚症状がありません。健康診断の超音波検査で見つかったポリープや胆のうの壁の変化をきっかけに、がんと分かることも少なくありません。
がんが進行すると、皮膚や白目が黄色くなる黄疸(おうだん)、みぞおちや右わき腹の痛み、体重減少などの症状が現れることがあります。
「症状がないから大丈夫」とは言い切れないのが、胆のうがんの難しいところです。胆のうポリープを指摘された場合は、症状の有無にかかわらず、医師の指示に沿って検査を続けることが大切です。なお、ポリープそのものが痛みを起こすことはまれです。ポリープと症状の関係については、「胆のうポリープに症状はある?痛みの原因と何科を受診すべきかを解説」で詳しく解説しています。
早期のがんだった場合の治療
手術後の病理検査でがんが見つかった場合は、がんが胆のうの壁のどの深さまで広がっているかによって、その後の治療方針が決まります。
がんが胆のうの壁の内側の浅い層(粘膜)にとどまっている場合は、胆のう摘出術だけで治療が完了し、追加の手術は必要ないとされています。その下の筋肉の層(固有筋層)までのがんでも、摘出した胆のう全体を詳しく調べたうえで診断されていれば、追加の手術は不要とされています。
追加の手術が必要になる場合
がんが筋肉の層を越えて広がっている場合は、追加の手術が検討されます。標準的な手術は、胆のうが付いていた肝臓の一部を切除し、周囲のリンパ節を取り除く方法です。追加の手術は、肝臓や胆道の手術を専門的に行う医療機関で受けるのが一般的です。
進行度別の5年生存率
胆のうがんの治療成績は、見つかったときの進行度(病期)によって大きく異なります。全国のがん診療連携拠点病院などのデータでは、2014〜2015年に胆のうがんと診断された方の5年生存率は次のとおりでした4)。
- Ⅰ期:87.2%
- Ⅱ期:71.4%
- Ⅲ期:19.9%
- Ⅳ期:2.1%
Ⅰ期で見つかった場合の5年生存率は、8割を超えています。一方で、進行してから見つかると、治療は難しくなります。胆のうポリープの定期的な検査や、適切な時期の手術が大切なのはこのためです。
がんを見逃さないための検査と経過観察
胆のうポリープの多くは良性ですが、ごく一部に含まれるがんを見逃さないためには、指摘された後の対応が大切です。
定期的な超音波検査の目安
胆のうポリープを指摘されたら、まずは消化器内科や消化器外科を受診し、腹部超音波(エコー)検査でポリープの大きさや形を詳しく確認します。その結果をもとに、手術を検討するか、経過観察を続けるかを判断します。
経過観察となった場合、再検査の間隔はポリープの大きさや形、年齢などのリスク因子によって異なります。一律の決まりがあるわけではないため、担当医が示した時期に検査を受けることが大切です。
経過観察で特に重要なのは、前回の検査との比較です。ポリープが大きくなっていないか、形が変わっていないかを確認するために、できるだけ同じ医療機関で検査を続け、健康診断の結果票も保管しておきましょう。
検査の内容や経過観察の進め方については、「胆のうポリープに症状はある?痛みの原因と何科を受診すべきかを解説」で詳しく解説しています。
手術を勧められたときに相談したいこと
ポリープの大きさや経過から手術を勧められた場合は、次のような点を担当医に相談しておくと、納得して治療を選びやすくなります。
- なぜ手術が勧められるのか(大きさ、大きくなっているかどうか、形など)
- 手術をせずに経過観察を続けた場合、どのような可能性があるのか
- 手術の方法と、入院が必要か日帰りで受けられるか
- 手術後の病理検査の結果は、いつ、どのように説明されるのか
- がんが見つかった場合、どのような対応になるのか
手術は、胆のうごと摘出する方法が標準です。胆のうを取ることへの不安がある方は、「胆のうを取るとどうなる?摘出後の体の変化と生活の注意点を解説」もあわせてご覧ください。
内視鏡(腹腔鏡)による胆のう摘出術は、条件が合えば日帰りで受けられる医療機関もあります。手術の流れや日帰り手術については、「胆のうポリープは手術が必要?大きさ別の対応とがんの見分け方を解説」で解説しています。
胆のうポリープとがんに関するよくあるご質問
Q.胆のうポリープががんになる確率はどのくらいですか?
胆のうポリープの多くは、がんに変化することのないコレステロールポリープです。米国の大規模な調査では、胆のうポリープが見つかった方のうち、その後に胆のうがんと診断されたのは約0.05%で、ポリープがない方とほぼ同じ割合でした1)。ただし、10mm以上のポリープでは、6mm未満のポリープに比べて胆のうがんと診断される頻度が約100倍高いことも示されています1)。ご自身のポリープの大きさや形を確認し、医師の判断に沿って検査を受けることが大切です。
Q.5mm未満のポリープでも、がんの可能性はありますか?
可能性は非常に低いと考えられています。欧州の合同ガイドラインでも、5mm以下でリスク因子がなければ、経過観察の必要性は低いとされています2)。ただし、5mm以下のポリープでもがんが見つかった報告はわずかにあり、その多くはリスク因子のある方でした2)。日本では健康診断などで引き続き確認していくのが一般的ですので、ポリープを指摘された際の結果票は保管しておきましょう。
Q.10mm以上のポリープは、がんですか?
必ずしもがんというわけではありません。10mm以上でも、良性のコレステロールポリープなどであることがあります。ただし、超音波検査などの画像だけでは良性と悪性を見分けきれず、がんの可能性を否定できないため、手術を受けられる状態であれば胆のう摘出術が勧められています。最終的には、摘出した胆のうの病理検査で診断が確定します。
Q.ポリープが小さくなったり消えたりすることはありますか?
コレステロールポリープは、経過観察中に小さくなったり、超音波検査で見えなくなったりすることがあります。一方で、食事や市販薬などでポリープを小さくしたり消したりする方法は、医学的に確立されていません。ポリープの変化は自己判断せず、定期的な検査で確認することが大切です。
まとめ|がんの可能性は大きさと変化で判断します
胆のうポリープの大部分は、がんとは関係のない良性のポリープです。ポリープが見つかった方のうち、その後に胆のうがんと診断される割合は、ポリープがない方とほぼ変わりません。
一方で、10mm以上のポリープや、根元が幅広いもの、経過観察中に大きくなるものは、がんの可能性を考えて慎重に評価する必要があります。がんかどうかは手術後の病理検査で確定します。早い段階で見つかれば、胆のう摘出術だけで治療を終えられる場合もあります。
胆のうポリープを指摘されたら、次の点を意識しておきましょう。
- ポリープの大きさと形を、専門医のもとで確認する
- 経過観察となった場合は、指示された時期に検査を続ける
- 手術を勧められた場合は、手術が必要な理由や手術後の流れについて説明を受け、納得したうえで治療を選ぶ
不安なまま様子をみるのではなく、ご自身のポリープの状態を正しく知ることが、適切な判断につながります。
胆のうポリープなど胆のう疾患でお悩みの場合は当院までご相談ください
当院では、胆のうポリープなど胆のう疾患に対して適切な診断を行い、患者さま一人ひとりに合わせた治療方針をご提案しています。
手術が必要かどうかを含めて専門医が丁寧に診断します。お気軽にご相談ください。
JR大阪駅から徒歩3分・土日祝も診療
参考文献
1) Szpakowski JL, Tucker LY. Outcomes of Gallbladder Polyps and Their Association With Gallbladder Cancer in a 20-Year Cohort. JAMA Netw Open. 2020;3(5):e205143.
2) Foley KG, Lahaye MJ, Thoeni RF, et al. Management and follow-up of gallbladder polyps: updated joint guidelines between the ESGAR, EAES, EFISDS and ESGE. Eur Radiol. 2022;32(5):3358-3368.
3) Pyo JS, Son BK, Lee HY, Oh IW, Chung KH. Incidental Carcinoma after Cholecystectomy for Benign Disease of the Gallbladder: A Meta-Analysis. J Clin Med. 2020;9(5):1484.
4) 国立がん研究センター がん情報サービス. 院内がん登録生存率集計結果閲覧システム(胆嚢がん、2014-2015年5年生存率).
