gallstone胆石症
胆石症とは

胆石症とは、胆汁の成分が固まって石のようなかたまり(胆石)となり、胆のうや胆管の中に存在する状態を指します。胆石があっても、ただ存在しているだけでは症状が出ないことも少なくありません。しかし、胆石が胆のうの出口や胆管を塞ぐと、強い腹痛や胆のう炎・胆管炎といった炎症を引き起こすことがあります。
胆汁は肝臓で作られ、胆のうに一時的に蓄えられた後、食事をきっかけに十二指腸へ分泌され、脂肪の消化を助ける役割を担っています。この胆汁に含まれるコレステロールやビリルビンなどの成分のバランスが崩れると、成分が結晶化し、胆石が形成されます。
胆石症は、胆石が存在する部位によって主に二つに分けられます。最も多いのは、胆のうの中に胆石ができる胆のう結石です。もう一つは、胆管内に胆石が存在する胆管結石で、こちらは胆管炎や急性膵炎などの重篤な合併症を引き起こしやすいため、特に注意が必要です。
胆石症の主な症状
胆石症の症状は、胆石の位置や胆道の詰まり方、炎症の有無によって大きく異なります。胆石があっても無症状のまま経過するケースは少なくありませんが、症状が出現した場合には、いくつかの特徴的な経過をたどります。
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上腹部からみぞおちの痛み
胆石症で最も代表的な症状が、右上腹部からみぞおちにかけての強い痛みです。突然起こり、数十分から数時間続くことが多く、特に脂っこい食事の後に出現しやすいとされています。この痛みは「胆石発作」と呼ばれ、背中や右肩に放散することもあります。
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腹痛と発熱
胆石が胆のう内で炎症を起こすと、急性胆のう炎を発症します。この場合、持続する腹痛に加えて発熱や圧痛がみられ、安静にしていても症状が改善しにくくなります。
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黄疸
胆石が胆管に落ち込み、胆汁の流れを塞ぐと黄疸が出現します。皮膚や白目が黄色くなり、尿の色が濃くなるのが特徴です。さらに、この状態に細菌感染が加わると、発熱や悪寒、意識障害などを伴う急性胆管炎へ進行することがあります。急性胆管炎は重篤化するおそれがあるため、早急な対応が必要です。
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無症状のまま経過する場合も…
健康診断や他の病気の検査中に偶然見つかる無症状胆石も多く、この場合は痛みや消化器症状をまったく伴わないこともあります。ただし、無症状であっても将来的に症状が出現する可能性があるため、必要に応じて治療を受けることが大切です。
胆石症の種類
胆石症の原因となる胆石には、成分によっていくつかの種類があります。ここでは、代表的な胆石の種類とその特徴について解説します。
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コレステロール胆石
日本人で最も多くみられるタイプの胆石です。胆汁の中に含まれるコレステロールが必要以上に多くなり、結晶化することで形成されます。
肥満、急激な体重減少、妊娠、女性ホルモンの影響などが主なリスク因子として知られています。多くは胆のう内に生じ、無症状のまま経過することも少なくありません。 -
黒色胆石
ビリルビンを主成分とする黒色の胆石で、主に胆のう内に形成されます。溶血性貧血や肝硬変など、ビリルビン代謝に異常がある場合にできやすく、高齢者に比較的多くみられるのが特徴です。
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褐色胆石
ビリルビンに加えて脂肪酸カルシウムなどを含む胆石で、胆管内に形成されやすいことが特徴です。胆道感染や胆汁の流れが滞ること(胆汁うっ滞)が関与しており、胆管炎や急性膵炎を合併しやすいため、特に注意が必要な胆石です。
胆石症の放置は危険

胆石症は、無症状のまま経過することも少なくありません。しかし、症状がない場合でも、将来的に重篤な合併症を引き起こす可能性があるため、注意が必要です。
特に注意が必要なのは、胆石が胆のうの出口や胆管を塞いだ場合です。この状態では胆汁の流れが妨げられ、急性胆のう炎や急性胆管炎を発症することがあります。急性胆のう炎では、持続する腹痛や発熱がみられ、抗菌薬による治療が必要となるほか、状態によっては手術が検討されることもあります。
さらに、胆管炎を発症すると、発熱、黄疸、腹痛を伴う重い感染症へ進行することがあります。重症化した場合には、全身に炎症が広がる敗血症を引き起こし、命に関わる状態になることもあるため、早期診断と迅速な治療が重要です。また、胆管が閉塞された状態では急性膵炎を合併することもあり、入院治療が必要となるケースもあります。
このように、胆石症は無症状であっても、重篤な合併症を起こすリスクがある疾患です。自己判断で放置せず、専門医の診察を受けたうえで、適切な治療方針を検討することが重要です。
胆石症の検査・診断
腹部エコー検査(超音波検査)

胆石症の検査において、基本となるのが腹部超音波検査(エコー検査)です。超音波検査は体への負担が少なく、外来でも行える検査で、胆のう内に胆石があるかどうかや、その大きさ、数を確認することができます。また、胆のう壁の肥厚や胆のう周囲の炎症所見がみられる場合には、胆のう炎の合併を評価することも可能です。
腹部CT検査・MRCP
(磁気共鳴胆管膵管撮影)

必要に応じて、腹部CT検査やMRCP(磁気共鳴胆管膵管撮影)が行われることがあります。腹部CT検査では、胆のうや胆管の状態、周囲臓器との関係を立体的に把握することができ、胆のう炎や胆管炎、急性膵炎などの合併症が疑われる場合に有用です。ただし、胆石の成分によってはCTで確認しにくいこともあります。
胆管内に胆石が存在する可能性がある場合には、MRCPが行われます。MRCPは造影剤を使用せずに、胆管や膵管の走行、閉塞の有無を詳しく確認できる検査で、胆管結石の診断に役立ちます。
血液検査

画像検査に加えて、血液検査も行われます。血液検査では、炎症反応の有無に加え、肝胆道系酵素やビリルビン値などを確認します。これらの数値に異常が認められる場合には、胆のう炎や胆管炎、胆管結石による胆汁うっ滞などが疑われ、治療の緊急性を判断するうえでの指標となります。
胆石症の治療法
胆石症の治療は、症状の有無や胆石の存在部位、炎症や合併症の有無などを総合的に判断して決定されます。胆石が見つかったすべての方に治療が必要となるわけではなく、経過観察が適切と判断される場合もあります。
無症状の胆石の治療方針
腹痛や発熱、黄疸などの症状を認めない無症状の胆石の場合、原則として積極的な治療は行わず、定期的な診察や超音波検査などの画像検査による経過観察が行われます。ただし、胆のうの状態や合併疾患、将来的な合併症リスクを考慮し、手術が検討されることもあります。
症状を伴う胆のう結石の治療
胆石発作を繰り返す場合や、急性胆のう炎を発症した場合には治療が必要となります。症状を伴う胆のう結石に対しては、根本的な治療として胆のうを摘出する手術が行われます。
現在、標準的な手術方法として腹腔鏡下胆のう摘出術が広く行われています。腹部に小さな孔を数か所開けて行う手術で、術後の痛みが比較的少なく、回復が早いという特徴があります。全身状態によって日帰り手術で治療が可能な場合もあり、身体的・生活面の負担を抑えた治療が行われます。
胆管結石の治療
胆管結石は、胆管炎や急性膵炎などの重い合併症を引き起こす可能性があるため、原則として治療が行われます。治療の中心となるのは、内視鏡を用いて胆管内の胆石を取り除く方法です。内視鏡的治療によって胆管の閉塞を解除し、胆汁の流れを改善することで、症状の改善が期待できます。
胆管結石の治療後には、再発防止の観点から、胆のう摘出術を行うことがあります。
薬物療法について
胆石を溶かす薬物療法は、すべての胆石に適応となるわけではありません。コレステロール胆石で、胆のうの機能が保たれており、胆石の大きさや数が限られている場合など、特定の条件を満たす場合に選択されることがあります。ただし、治療期間が長期に及ぶことや、治療中止後に再発する可能性があるため、現在では適応は限定的です。
